【妊活とホルモンと睡眠②】夜間低血糖と睡眠の質の関係 ~交感神経の興奮がもたらす眠りへの影響~
こんにちは、千葉市の妊活治療に特化した鍼灸院 鍼灸整骨うりずんです。
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■はじめに
こんにちは。
千葉市の妊活・不妊治療専門の鍼灸院「鍼灸整骨うりずん」の金親です。
第6章第1話では、卵子の質を左右する5つの要因について、全体像をご紹介しました。
その中でも、最も大きな影響を与える要因が「年齢」です。
妊活について調べていると、「35歳を過ぎると妊娠しにくくなる」「40歳を過ぎると卵子の質が低下する」といった情報を目にすることがあるかもしれません。
しかし、「年齢が影響する」ということは知っていても、「なぜ影響するのか」まで理解している方は多くありません。
実際には、年齢を重ねることで卵子の中ではさまざまな変化が起こります。その変化が積み重なることで、受精や胚の発育、着床へ影響を及ぼす可能性が高くなることがわかっています。
今回は、卵子が年齢の影響を受ける理由について、生理学的な仕組みをもとにわかりやすく解説します。
■この章でわかること(Key Takeaways)
・年齢が卵子の質へ影響する理由
・卵子が年齢とともに変化する仕組み
・染色体異常が増えると考えられている理由
・年齢だけで妊娠の可能性が決まるわけではない理由
■30秒でわかるまとめ
卵子は毎月新しく作られているわけではありません。
胎児の頃につくられた卵子のもとは、長い間卵巣の中で休眠し、思春期以降は毎月その一部が発育を始めます。その中から通常は1個だけが成熟し、排卵されます。
年齢を重ねると、染色体を正しく分ける仕組みや細胞の働きが少しずつ変化するため、受精後の細胞分裂や胚の発育に影響する可能性が高くなります。
年齢によって卵子の中で何が変化するのかを理解することは、妊娠しやすい身体づくりを考える第一歩になります。
■それでも年齢が最も大きな要因といわれる理由
第6章第1話でもお話ししたように、卵子の質は年齢だけで決まるものではありません。
ミトコンドリアの働きや酸化ストレス、栄養状態、睡眠、血流など、さまざまな要因が互いに影響し合いながら、卵子を育てる環境をつくっています。
その一方で、それらの中でも最も大きな影響を与える要因として、多くの研究で示されているのが「年齢」です。
実際に、自然妊娠率は30代半ば頃から徐々に低下し、流産率や染色体異常の頻度は年齢とともに高くなることが知られています。
これは単に「年齢を重ねたから」という漠然とした話ではありません。
年齢を重ねることで、卵子の中で起こる変化が積み重なり、その結果として妊娠率へ影響していると考えられています。
では、その変化とはどのようなものなのでしょうか。
■卵子は毎月新しく作られているわけではない
私たちの体では、皮膚や腸の粘膜、血液など、多くの細胞が毎日新しく作り替えられています。
ところが、卵子はこうした細胞とは大きく異なります。
卵子のもととなる細胞が作られるのは、お母さんのお腹の中にいる胎児期です。
その後、新しい卵子が作られることはありません。
原始卵胞として卵巣の中で休眠し、思春期を迎えるまで長い時間を過ごします。
思春期になると、その一部が毎月目を覚ますように発育を開始します。
若い頃は、1回の月経周期で約1,000個前後の原始卵胞が発育を始めます。
そのうちほとんどは途中で発育を終え、成熟して排卵されるのは月経周期ごとに通常1個だけです。
この仕組みは年齢とともに少しずつ変化します。
発育を開始する原始卵胞の数は徐々に減少し、40代では1回の月経周期あたり10〜100個程度まで少なくなると考えられています。
| 年齢の目安 | 1周期で発育を開始する原始卵胞数(目安) | 最終的に排卵される卵子 |
|---|---|---|
| 20代 | 約1,000個前後 | 通常1個 |
| 30代 | 数百個程度 | 通常1個 |
| 40代 | 10〜100個程度 | 通常1個 |
40歳で排卵される卵子は、胎児の頃につくられた原始卵胞が約40年という長い年月を経て成熟し、排卵されたものです。
このことは、卵子の老化を理解するうえで最も重要なポイントです。
卵子は「古くなったから突然働きが悪くなる」のではありません。
長い休眠期間を経る中で、染色体を正しく分ける仕組みや細胞の機能に少しずつ変化が積み重なり、その結果として卵子の質へ影響すると考えられています。

■年齢を重ねると卵子では何が起こるのか
「卵子が老化する」という言葉を聞くことがありますが、実際には卵子そのものが急激に衰えるわけではありません。
年齢とともに変化するのは、卵子の中で正常な働きを維持しているさまざまな仕組みです。
例えば、細胞の中ではDNAを守る仕組みが働いています。また、細胞分裂を行うための装置や、エネルギーを作り出す仕組みも常に活動しています。
若い頃には問題なく機能していたこれらの仕組みも、長い年月を経ることで少しずつ効率が低下していく可能性があります。
こうした変化が積み重なると、受精後の細胞分裂や胚の発育へ影響を及ぼすことが考えられます。
もちろん、すべての卵子が同じように変化するわけではありません。
同じ年齢であっても卵子の状態には個人差があり、採卵で良好な胚が得られる方もいれば、若い年齢でも思うような結果が得られない方もいます。
そのため、年齢は重要な要因ではありますが、それだけですべてを説明できるわけではありません。

■染色体を正しく分ける仕組みが変化する
年齢による影響として最もよく知られているのが、染色体を正しく分ける仕組みの変化です。
人の細胞には46本の染色体があります。
受精の際、精子と卵子の染色体が合わさって元通り46本の染色体に戻るのですが、その前段階として、卵子と精子のそれぞれが、染色体を半分の23本にする必要があります。
この作業は非常に精密で、1本でも多かったり少なかったりすると、正常な発育が難しくなる場合があります。
このとき重要な役割を果たしているのが、「紡錘体(ぼうすいたい)」と呼ばれる構造です。
紡錘体は、細い糸のような構造を伸ばして染色体を両側へ引っ張り、23本ずつ正確に分ける働きをしています。
ところが、年齢を重ねるにつれて、この仕組みが以前と同じようには働かなくなることがあります。
その結果、染色体が正しく分配されず、本数に異常のある卵子が増える可能性があることが知られています。
この染色体異常は、受精しない原因というよりも、受精後に胚の発育が止まったり、着床しなかったり、流産につながったりする要因の一つと考えられています。

■ミトコンドリアの働きも年齢の影響を受ける
染色体を正しく分けるためには、もう一つ欠かせないものがあります。
それが、細胞のエネルギーです。
卵子は人体の中でも最も大きな細胞の一つであり、排卵や受精、細胞分裂など、多くの場面で大量のエネルギーを必要とします。
このエネルギーを作っているのが、細胞の中にあるミトコンドリアです。
ミトコンドリアは「細胞の発電所」とも呼ばれ、細胞が活動するためのエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)を作り出しています。
ATPは、染色体を分ける紡錘体の働きや、受精後の細胞分裂、胚盤胞まで成長する過程など、さまざまな生命活動を支えています。
ところが、年齢を重ねるにつれて、ミトコンドリアの機能は少しずつ低下すると考えられています。
するとATPの産生量が減少し、卵子が必要とする十分なエネルギーを確保しにくくなる可能性があります。
その結果、染色体分配や細胞分裂などの精密な働きへ影響を及ぼすことがあると考えられています。
このため、近年ではミトコンドリアの働きが、卵子の質を考えるうえで重要な要素の一つとして注目されています。

■DNAも長い年月の影響を受ける可能性がある
年齢による変化は、染色体やミトコンドリアだけではありません。
卵子の中にあるDNAも、長い年月の間にさまざまな影響を受ける可能性があります。
私たちの体では、日常生活の中でも紫外線や炎症、代謝によって生じる活性酸素などにより、DNAへ小さな傷が生じています。
通常であれば、細胞にはDNAを修復する仕組みが備わっているため、大きな問題になることは多くありません。
しかし、年齢を重ねることで、この修復能力が徐々に低下する可能性が示唆されています。
その結果、小さな損傷が十分に修復されずに残ることがあり、受精後の細胞分裂や胚の発育へ影響する一因になると考えられています。
もちろん、DNAの変化だけで妊娠の成否が決まるわけではありません。
さまざまな要因が重なり合った結果として、妊娠率や流産率に違いが生じると考えられています。
■酸化ストレスは年齢とともに影響を受けやすくなる
第6章第1話でも触れましたが、卵子の質には酸化ストレスも関わっています。
酸化ストレスとは、体内で発生する活性酸素と、それを抑える抗酸化システムのバランスが崩れ、細胞が傷つきやすくなった状態です。
活性酸素は、呼吸やエネルギー産生の過程でも自然に作られます。また、免疫反応などに必要な働きもあるため、活性酸素そのものが悪いわけではありません。
しかし、活性酸素が過剰に増えたり、体内で処理する力が低下したりすると、細胞膜やDNA、ミトコンドリアなどへ負担をかける可能性があります。
年齢を重ねると、活性酸素を処理する抗酸化システムの働きが徐々に変化し、酸化ストレスの影響を受けやすくなると考えられています。
さらに、酸化ストレスは年齢だけでなく、生活習慣とも関係します。
例えば、喫煙、過度の飲酒、睡眠不足、慢性的なストレス、血糖値が大きく変動しやすい食生活などは、体内で活性酸素が増えたり、抗酸化システムへ負担をかけたりする要因になる可能性があります。
つまり、年齢によって酸化ストレスへの抵抗力が変化するところへ、生活習慣による負担が重なることで、ミトコンドリアやDNAが影響を受けやすくなる可能性があるのです。
このように、酸化ストレスは、変えることのできない「年齢」と、見直す余地のある「生活習慣」の両方に関係する要素です。
酸化ストレスが卵子へどのような影響を与えるのかについては、第6章第4話で詳しく解説します。

■それでも年齢だけで妊娠が決まるわけではない
ここまで読むと、「年齢が上がったら、もう妊娠は難しいのでは」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、そのように考える必要はありません。
年齢は、卵子の質に最も大きく影響する要因であることは確かです。
一方で、年齢だけで妊娠の可能性が決まるわけではありません。
実際の臨床でも、40歳を超えて妊娠・出産される方がいる一方で、30歳未満でも妊娠に時間がかかる方もいます。
これは、卵子の質には年齢以外にも、「ミトコンドリアの働き」「酸化ストレス」「栄養状態」「血糖コントロール」「睡眠」「血流」「ホルモンバランス」など、多くの要因が関係しているためです。
年齢そのものを変えることはできませんが、卵子を取り巻く環境を整えることは可能です。
そのため妊活では、「年齢だから仕方がない」と諦めるのではなく、改善できる要因へ目を向けることが大切になります。
■まとめ
卵子は毎月新しく作られる細胞ではなく、胎児の頃に作られた細胞が何十年もの間、体の中で休眠しています。
その長い年月の間に、
- 染色体を正しく分ける仕組み
- ミトコンドリアの働き
- DNAを守る仕組み
- 酸化ストレスへの対応能力
などが少しずつ変化することで、卵子の質へ影響すると考えられています。
一方で、年齢だけですべてが決まるわけではありません。
現在の研究では、生活習慣や栄養状態、睡眠、酸化ストレスなども卵子を取り巻く環境に関わることが示唆されています。
次回は、その中でも特に重要な「ミトコンドリア」に注目し、なぜ細胞の発電所と呼ばれるのか、そして卵子の質とどのように関係しているのかを詳しく解説していきます。
鍼灸整骨うりずんでは
卵子の質は、年齢だけで決まるものではありません。しかし、年齢を重ねることで卵子の中に起こる変化を止めることは難しいのも事実です。
だからこそ当院では、「年齢は変えられないが、卵子を育てる環境は整えられる」という考え方を大切にしています。
妊活専門の鍼灸院として、体質や生活習慣、不妊治療の進行状況を丁寧に伺いながら、血流や自律神経のバランスを整える鍼灸施術に加え、睡眠・栄養・血糖コントロール・生活リズムなど、卵子を取り巻く環境づくりを総合的にサポートしています。
「年齢のことが気になって焦ってしまう」「何から始めればよいかわからない」という方も、一人で抱え込まずお気軽にご相談ください。
患者さま一人ひとりに合わせた妊活プランをご提案し、妊娠・出産という目標に向けて一緒に歩んでいきます。
📖 妊活の教科書シリーズ
📖 第1章 不妊症とは?|妊娠の確率と1年が目安とされる理由
📖 第3章 排卵とは?|卵胞が育ち、身体が妊娠へ向かう一連の流れ
📖 第4章 卵胞はどうやって育つの?|FSH・エストロゲン・LHが連携して排卵を導く仕組み
📖 第6章 第1話 卵子の質を左右する5つの要因とは?|卵子の質を左右する5つの要因を総合的に理解する
➡ 📖 第6章 第2話 年齢はなぜ卵子の質に影響するのか?|卵子の老化の仕組みを理解する(この記事)
📖 第6章 第3話 卵子には数十万個のミトコンドリアがある理由(近日公開)
📖 第6章 第4話 酸化ストレスと糖化は卵子に何をもたらす?(近日公開)
📖 第6章 第5話 栄養と血糖が卵子を育てる仕組み(近日公開)
📖 第6章 第6話 睡眠・ストレス・血流が卵巣に与える影響(近日公開)
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