【妊活とビタミンA①】
卵子・子宮・ホルモンを守る“妊娠準備ビタミン”
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■はじめに
こんにちは。
千葉市の妊活・不妊治療専門の鍼灸院「鍼灸整骨うりずん」の金親です。
第6章第2話では、「年齢はなぜ卵子の質に影響するのか?」について解説しました。
その中で登場したのが、卵子の働きを支えているミトコンドリアです。
ミトコンドリアは、食事からとった栄養素などを利用して、ATP(アデノシン三リン酸)という「細胞のエネルギー通貨」を作っています。
私たちが身体を動かしているときも、眠っているときも、ミトコンドリアは細胞の中でATPを作り、さまざまな働きを支えています。
もちろん、卵子も例外ではありません。
むしろ卵子には非常に多くのミトコンドリアがあり、成熟、受精、そして受精後の発育までを支えています。
普段はほとんど意識することのないミトコンドリアですが、実は私たちの細胞を休むことなく支えている存在です。
では、なぜ卵子にはこれほど多くのミトコンドリアがあるのでしょうか。
そして、ミトコンドリアが作るATPは何に使われているのでしょうか。
今回は、卵子を陰で支えているミトコンドリアの働きを見ていきましょう。
■この章でわかること|Key Takeaways
・ミトコンドリアは、ATPを作って細胞の活動を支えている
・成熟した卵子には、およそ10万個ものミトコンドリアがあるといわれている
・ATPは、卵子の成熟、染色体の分配、受精、受精後の発育などを支えている
・卵子は、受精後の初期発育を支えるためにも、多くのミトコンドリアを準備している
・加齢や酸化ストレスによるミトコンドリアの働きの変化は、卵子の機能に関係している
■30秒でわかるまとめ
ミトコンドリアは、私たちの細胞の中でATPを作っています。
ATPは「細胞のエネルギー通貨」とも呼ばれ、細胞がさまざまな活動をするときに使われます。
卵子には、このミトコンドリアが非常に多く存在し、成熟した卵子ではおよそ10万個あるといわれています。
なぜ、これほど多くのミトコンドリアが必要なのでしょうか。
卵子は、成熟、排卵、受精を経て、受精後には細胞分裂を繰り返しながら胚へと成長していきます。
こうした一連の変化には、多くのエネルギーが必要です。
そのため、ミトコンドリアがきちんと働き、必要なATPを作れることは、卵子の働きを支える重要な要素の一つと考えられています。
■ミトコンドリアとは?
私たちの身体は、たくさんの細胞からできています。
その一つひとつの細胞の中で、エネルギーを作るために大切な働きをしているのがミトコンドリアです。
ミトコンドリアは、食事からとった糖質や脂質などを利用して、**ATP(アデノシン三リン酸)**を作っています。
ATPは「細胞のエネルギー通貨」とも呼ばれ、私たちの身体のさまざまな活動に使われています。
たとえば、
筋肉を動かす
心臓を動かす
細胞の中で必要なものを運ぶ
細胞分裂を進める
といった働きにもATPが必要です。
つまり、私たちの細胞が働き続けるためにはATPが必要であり、そのATPを作っているのがミトコンドリアです。
そして卵子にも、このミトコンドリアがたくさん存在しています。
では、なぜ卵子にはこれほど多くのミトコンドリアが必要なのでしょうか。

■卵子には、なぜ多くのミトコンドリアがあるのか?
卵子は、私たちの身体の中でも少し特殊な細胞です。
一般的な細胞と比べてとても大きく、成熟、排卵、受精と、大きな変化を次々に経験します。
さらに受精すると、
1個
↓
2個
↓
4個
↓
8個……
と細胞分裂を繰り返しながら、胚へと成長していきます。
こうした一連の変化を支えるためには、多くのエネルギーが必要です。
そのエネルギーを作るために重要なのが、ミトコンドリアです。
卵子は成長する過程でミトコンドリアを増やしていき、成熟した卵子には、およそ10万個ものミトコンドリアがあるといわれています。
ミトコンドリアの数は細胞の種類によって大きく異なります。たとえば、肝臓の細胞では約1,000〜2,000個、筋肉の細胞では約5,000個とする報告があります。
それと比べても、成熟した卵子にある約10万個という数が、かなり多いことがわかります。
では、なぜ卵子はこれほど多くのミトコンドリアを準備しているのでしょうか。
その理由の一つは、受精した後の発育にもエネルギーが必要だからです。
卵子は、自分自身が成熟するためだけではなく、受精後に胚として成長していくためにも、たくさんのミトコンドリアを準備していると考えることができます。

■ATPは卵子の中で何に使われるのか?
では、ミトコンドリアが作ったATPは、卵子の中でどのように使われるのでしょうか。
代表的な場面を見てみましょう。
① 卵子が成熟するとき
排卵される前の卵子は、卵胞の中で成長しながら、受精できる状態へと成熟していきます。
このとき卵子の中でも、受精に向けたさまざまな準備が進められています。
こうした変化を進めるためにもATPが使われています。
つまり、卵子が受精できる状態まで成熟するためにも、エネルギーが必要なのです。
② 染色体を正しく分けるとき
第6章第2話で説明した紡錘体を覚えているでしょうか。
紡錘体は、卵子が成熟するときに染色体を正しく分けるために重要な役割をしています。
染色体を正しく分けるためには、卵子の中でさまざまな働きが連携する必要があり、そこでもエネルギーが使われています。
ミトコンドリアの働きが低下すると、ATPの供給にも影響し、紡錘体や染色体の分配がうまくいかなくなることとの関係も研究されています。
ただし、染色体の異常がすべてミトコンドリアによって起こるわけではありません。
年齢による染色体そのものの変化など、いくつもの原因が関係しています。
ミトコンドリアは、その中の一つとして卵子の働きを支えていると考えるとよいでしょう。
③ 受精するとき
排卵された卵子に精子が入り込むと、受精が始まります。
しかし、受精は単に「精子と卵子がくっつく」だけではありません。
精子が卵子に入ることをきっかけに、卵子の中では、それまで止まっていた成熟が再び進み始めます。
そして、精子と卵子それぞれの遺伝情報をまとめる準備が進み、受精卵として細胞分裂を始めるためのさまざまな変化が起こります。
こうした一連の活動にもエネルギーが必要です。
そのエネルギーを支えているのが、ミトコンドリアが作るATPです。
つまりミトコンドリアは、卵子が成熟するときだけではなく、受精して新しい命として発育を始めるときにも、エネルギーの面から卵子を支えているのです。

■受精後もしばらくは卵子が準備したミトコンドリアを使う
卵子のミトコンドリアには、もう一つ大切な役割があります。
それが、受精後の胚の発育を支えることです。
受精した卵子は、
受精卵
↓
2細胞
↓
4細胞
↓
8細胞
↓
桑実胚
↓
胚盤胞
と細胞分裂を繰り返していきます。
この時期の胚は、細胞の数がどんどん増えていきます。
しかし、初期の胚では、新しいミトコンドリアが次々と増えていくわけではありません。
受精したときに卵子が持っていたミトコンドリアが、細胞分裂とともにそれぞれの細胞へ分けられていきます。
つまり、受精後の初期発育は、卵子があらかじめ準備していたミトコンドリアに大きく支えられているのです。
卵子におよそ10万個ものミトコンドリアが存在する理由を考えるうえで、ここはとても重要なポイントです。
卵子は自分自身が成熟するためだけではなく、受精した後の胚の発育まで見据えて、多くのミトコンドリアを準備していると考えることができます。

■年齢とともにミトコンドリアの働きも変化する
ここで、第6章第2話の「年齢」の話とつながります。
年齢を重ねると、卵子のミトコンドリアにも変化が起こることがわかっています。
たとえば、
ATPを作る力が低下する
ミトコンドリアのDNA(遺伝情報)や膜に傷がたまりやすくなる
活性酸素とのバランスが乱れやすくなる
といった変化が報告されています。
ミトコンドリアが十分に働けなくなると、卵子が必要とするATPの供給にも影響します。
すると、
卵子の成熟
染色体の分配
受精
受精後の発育
など、エネルギーを必要とするさまざまな場面に影響することが考えられます。
もちろん、年齢による卵子の変化をミトコンドリアだけで説明することはできません。
第2話で見てきた染色体やDNAなどの変化も関係しています。
ミトコンドリアの働きの変化も、年齢が卵子の質に影響する理由の一つなのです。
■ミトコンドリアと酸化ストレスは深くつながっている
ミトコンドリアについて考えるとき、もう一つ重要なのが酸化ストレスです。
ミトコンドリアがATPを作る過程では、活性酸素も発生します。
活性酸素は身体の中で普通に作られているもので、すべてが悪いわけではありません。
適度な量の活性酸素は、免疫細胞が細菌などから身体を守るときに利用されるほか、細胞同士の情報を伝える働きにも関わっています。
しかし、増えすぎると細胞を傷つけることがあります。
そしてミトコンドリア自身も、活性酸素の影響を受けやすい場所の一つです。
私たちの身体には、増えすぎた活性酸素から細胞を守る仕組みがあります。
ところが、
活性酸素が増えすぎる
↓
身体の防御が追いつかなくなる
↓
ミトコンドリアやDNAなどが傷つく
↓
ミトコンドリアの働きが低下する
という流れが起こることがあります。
さらに、ミトコンドリアの働きが低下すると、ATP産生の効率が落ちるだけでなく、活性酸素とのバランスも崩れやすくなります。
つまり、ミトコンドリアと酸化ストレスは、お互いに影響し合う関係にあるのです。

卵子には非常に多くのミトコンドリアがあるからこそ、その働きを考えるうえで酸化ストレスについて知ることも大切です。
この「酸化ストレス」については、次回の第6章第4話で詳しく解説します。
■日常生活との関係は?
ここまで読むと、
「では、ミトコンドリアのために何をすればいいの?」
と思う方もいるかもしれません。
ミトコンドリアは、私たちが毎日食べるものから得た栄養素や酸素を利用しながら、ATPを作っています。
また、その働きは身体の代謝や酸化ストレスなどとも関係しています。
そのため、ミトコンドリアが働きやすい身体の環境を整えるという意味でも、睡眠、運動、食事といった基本的な生活習慣は大切です。
たとえば、
十分な睡眠をとる
適度に身体を動かす
喫煙を避ける
過度な飲酒を避ける
血糖値が大きく乱れにくい食事を心がける
必要な栄養素を不足させない
といったことは、身体の代謝や酸化ストレスとも深く関係しています。
もちろん、生活習慣を整えれば卵子の質が必ず良くなる、という単純なものではありません。
卵子の質には年齢をはじめ、染色体やDNAなど、自分では変えることのできない要因も関係しています。
だからこそ、「卵子だけを何とかする」のではなく、卵子が育つ身体全体の環境を整えていくという視点が大切です。
第6章では、このあと酸化ストレス、糖化、睡眠・ストレス・血流について順番に見ていきます。
これらは別々の問題ではなく、互いにつながっています。
■まとめ
ミトコンドリアは、ATPという「細胞のエネルギー通貨」を作り、私たちの細胞の活動を支えています。
卵子には非常に多くのミトコンドリアがあり、成熟した卵子ではおよそ10万個あるといわれています。
それだけ多くのミトコンドリアが必要なのは、卵子が、
成熟する
成熟する過程で染色体を正しく分ける
受精する
受精後に胚として発育する
という大きな変化を続けていくためです。
さらに、受精後の初期胚も、卵子があらかじめ準備していたミトコンドリアを使いながら発育していきます。
そのため、ミトコンドリアがきちんと働き、必要なATPを作れることは、卵子の働きを支える重要な要素の一つです。
一方、年齢を重ねるとミトコンドリアの働きにも変化が起こり、酸化ストレスとも深く関係してきます。
卵子の質を考えるときには、年齢、ミトコンドリア、酸化ストレス、糖化、睡眠やストレス、血流などを別々に考えるのではなく、互いにつながったものとして理解していくことが大切です。
■鍼灸整骨うりずんでは
鍼灸整骨うりずんでは、妊活中の方に対して、卵子だけに注目するのではなく、身体全体の状態を確認しながら施術や生活面のサポートを行っています。
卵子の質には、年齢をはじめ、さまざまな要因が関係しています。
また、睡眠、食事、運動、ストレスなどの日常生活は、身体の代謝や酸化ストレスとも関わっています。
そのため当院では、医療機関での検査や不妊治療を基本としながら、鍼灸施術に加えて、睡眠や食事なども含めた身体づくりをサポートしています。
「卵子だけを見る」のではなく、卵子が育つ身体全体の環境を整えていく。
そのような視点を大切にしながら、妊活をサポートしています。
■次回以降のロードマップ
第6章では、「卵子の質を左右する要因」を一つずつ掘り下げています。
第1話 卵子の質を左右する5つの要因とは?
卵子の質を考えるための全体像
第2話 年齢はなぜ卵子の質に影響するのか?
染色体、紡錘体、DNA、ミトコンドリアなど、年齢による変化
第3話 ミトコンドリアはなぜ卵子の質に重要なのか?(この記事)
ATPと卵子のエネルギーの仕組み
第4話 酸化ストレスはなぜ卵子に影響するのか?
活性酸素と身体を守る仕組み
第5話 糖化は卵子の質に関係するのか?
血糖値とAGEsの仕組み
第6話 睡眠・ストレス・血流は卵子にどう関係するのか?
生活習慣と妊活をつなぐ仕組み
次回は、ミトコンドリアとも深く関係する**「酸化ストレス」**について詳しく見ていきます。
妊活の教科書シリーズ
📖 第1章 不妊症とは?|妊娠の確率と「1年」が目安とされる理由
📖 第3章 排卵とは?|卵胞が育ち、身体が妊娠へ向かう一連の流れ
📖 第4章 FSH・エストロゲン・LHとは?|ホルモンが連携して排卵を導く仕組み
📖 第6章 第3話 ミトコンドリアはなぜ卵子の質に重要なのか?(この記事)
📖 第6章 第4話 酸化ストレスはなぜ卵子に影響するのか?(次回)
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